世界一ねばねばの多い納豆

イメージ 1

 今まで私が頂いたことがある納豆の中で一番美味しかったのは、茨城県常陸大宮にある舟納豆です。豆の旨みとねばねばの旨みが織り成す逸品です。インターネットを覗くと全国納豆鑑評会 http://www.710.or.jp/kanpyou/ も毎年開かれているくらいですから、私が知らないだけで、世の中にはもっと他にも美味しい納豆が有るのでしょう。このURLに見えるように、7月10日は納豆の日です。万一私が政権をとるようなことがあったら、この日は国民の祝日にいたします。納豆のように粘っこくいこうではありませんか!

 私がベルリンで作っている”ベルリン納豆”(写真参照)は、その中でも間違いなく世界一ねばねばの多い納豆でしょう。醗酵が深くて臭い納豆がお好きな方にとっては、世界一美味しい納豆であるかもしれません。残念ながら非売品です。

 1月28日に四本喜一さんがブログの中で私の”ベルリン納豆”を絶賛してくれましたが http://geocities.yahoo.co.jp/gl/kiichi_4/view/20100118/1263767800 、そこにもあったように、ヨーロッパで納豆を買って毎日頂くと、エンゲル係数が高くなり家計がかなり傾きます。またドイツには豆を使う料理が少なくて、えんどう豆をすりつぶして裏ごししたスープくらいでしょうか、普通にヨーロッパ式食生活をしていると、動物性蛋白質過多になりますので、がんばって豆類を摂取するようにしています。そういったことがきっかけで納豆を作り始めて、15年経ちました。最初の頃はなかなか上手くいかず、指揮者で世界で大活躍の大野和士さん、テノールで超グルメの山枡信明さんには、糸引きが弱くて納豆と呼んで良いものか微妙な代物をお出しして、非常に気の毒なことをしてしまいました。それでも美味しいと言いながら召し上がってくださった皆様のやさしさに、感謝いたします。

 今の私の”ベルリン納豆”は失敗を繰り返した後かなり上達しまして、普通ではあり得ないねばねばの量と糸引きの強烈さで、他の追随を許しません。普通の納豆は大豆の周りにねばねばがついていますが、”ベルリン納豆”の場合は、とろろ芋状の中に大豆が浮かんでいる、そういう表現がぴったりです。かき混ぜ方は、北大路魯山人が唱えた424回論を採用し(”ベルリン納豆”は糸引きが強いので、腕がかなり疲れます。)、醤油の入れ方は雁屋哲さんの「美味しんぼ」91巻、少し入れてはかき混ぜる、というのを何回も繰り返す方法をとります。こうすることによって、ねばねばを最大限引き出すことが出来ます。納豆は臭ければ臭いほど良いと思っているので、臭さを増強する刻みネギを、納豆とほぼ同量入れます。チーズ、ヨーグルトでもワイン、日本酒でも、醗酵臭が好きです。臭さを抑える辛子や卵は入れません。

 納豆の作り方ですが、いろいろ試しました結果、東京ハンズ(仮名)に揃っている保温機も含め専用グッズを使用するのが一番よろしいようです。大豆が良いものですと、さらにより美味しい納豆が出来ます。これは、私を応援してくださっているニットデザイナーの金子真佐子さんが、無農薬の大豆をプレゼントしてくださったものです。

 私の”ベルリン納豆”のもうひとつの特徴は、自宅の練習室で醗酵させているので、育つ過程で私のオーボエ音楽を一身に受けているという点でしょうか。醗酵で大切なのは、醗酵に最適の環境を作り、菌を育ててやることです。しりをひっぱたいて無理やりでは菌がへそを曲げるだけです。

 そのような話を私が卒業した浦和高校の先輩の土屋達彦さんにしましたら、早速宮坂醸造丸高蔵に繋いで下さって、醗酵の心を知るオーボエ奏者渡辺克也が、醗酵中のお味噌にオーボエを聞かせる、という企画が実現しました。http://www.miyasaka-jozo.com/shop/gift/oboe.htm ちなみにこの丸高蔵のお味噌は、農林水産大臣賞に輝いています。丸高蔵の杜氏さんの高橋洋二さんからも醗酵について伺い、醗酵談義に花を咲かせました。醗酵の心は、納豆でもお味噌でも同じなんですねえ。このブログを書くに当たり上記舟納豆のホームページを覗いて発見したのですが、ここでも醗酵の段階で納豆に日本伝統のわらべ唄などを聞かせているではありませんか。http://www.funanatto.co.jp/magokoro/index.htm