遠く離れて愛する故郷

  今回の東日本巨大地震津波災害でお亡くなりになられた方々と被災された皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 
  遠く離れて愛する故郷の、目を覆うばかりの惨状に、呆然とするのみで言葉もございません。東北方面の親戚宅で壁や瓦が崩れたり、食器棚が全滅したりしたものの、皆無事でした。しかし、地震から3日間日本の家族に電話が全く通じず、気を揉みました。

  ドイツ版 CNN の n-tv や N24 では地震関連のニュースのみでぶっ通しでしたし、インターネットでNHKニュースなども見ました。両国の報道の仕方が多少違いまして、おそらく足して2で割ったあたりが正しい情報だったのでしょう。

  ドイツは反原子力発電の意識がもの凄く高い国で、2000年に「原子力発電からの脱却」が決定されました。その後政権が代わったり、二酸化炭素排出量削減のためもあり撤回されたかのように見えましたが、ここにきて世論がそれ見たことかと完全に反原子力発電一色に染まりましたので、メアケル首相も慌てて「原子力発電は、次世代の安全なエネルギーが開発されるまでのつなぎのエネルギーです。」と、改めて強調しました。技術上あり得ないのに「古い型の原子力発電所は今日にも止めます。」とまで言わなかったら、政権が転覆していたかもしれません。先日のバーデン・ヴュルテンベルク州議会議員選挙では普段は10%に満たない緑の党が大躍進して約25%を獲得、なんと驚くべきことに緑の党の州首相が誕生しました。

  事故が起こると手がつけられなくなる原発の恐ろしさ、福島第一原発で思い知らされました。日本人の叡智を結集して、もうこれ以上被害が拡大しないまま事故処理が一日も早く完結することを、祈ってやみません。

  同時に何本もの列車が最高時速300キロで運転されていた東北新幹線で、早期地震検知システムによる非常ブレーキのお蔭で一両も脱線しなかったなんて、日本人の叡智の誇るべき結果ではありませんか!

  さて、3月の産経新聞のコラム「渡辺克也のベルリン音楽旅行」をご覧ください。今回のコラム、大阪版には掲載されましたが、東京版では地震関連のニュースのため休載になりました。
 
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