移動中の完璧なドイツ食

   毎週同じ場所でコンサートをお聞きいただくわけには参りませんから、演奏旅行は演奏家にとって宿命です。演奏旅行中に体調をベストに保つのも仕事のうちであるのに、早朝から列車で移動、到着後もゆっくり食事の時間が取れないことが多く、可能な時に一生懸命栄養豊富で美味しいご馳走を頂いておきます。

  もっとも、毎日決まった時間に食事を頂くことを大切にするなら、旅程に任せるのではなく、日本でしたらお弁当、ドイツなら前日にスーパーで買い込んだソーセージ(冷たいままでも茹でても美味しい)とジャガイモサラダ、そしてビールをお持ち込みで車中にて、なんていうのも一つの手でしょう。
 
   ご覧ください。
 
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   塩味でプリプリのソーセージを一かじりし、酢が効いたネットリ系のジャガイモサラダをほおばり、ほろ苦いビールを流し込む。この黄金の組合わせ、旨くて何とも言えませーん。 
 
   日本人の昼飯なのに完璧なドイツ食だろう、とドイツ人に見せますと、あまりにも典型的ドイツ食すぎて、大抵、ヤメテクレと言われます。これを和食に置き換えると、塩ジャケ弁当に純米酒の小瓶、といったあたりでしょうか? 最高です。
 
   これでトマトでもかぶりつけば、炭水化物、タンパク質、ビタミンとも、完璧なバランスです。ビールにも、各種ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれているといいますが、世の中の呑兵衛の言い訳ですかね。
 
   ドイツは、スーパーで買い物をする限り異常なほど懐にやさしい国で、ソーセージ20本のうち2本、ジャガイモサラダ1キロのうち半分、ペットボトルビール0.5リットルで、150円くらいしかかかりません。経験上、高価な美食を体験しないと良い演奏はできないというのは、根拠が無さそうです。
 
   いづれにしましても、少しでも伸びの良い音、お客様を深い表現の世界へいざなうのに必要な体力精神力を少しでも多く蓄えるためには、体を作るべく、食を大切にしなくてはなりません。演奏家が食に拘るのには、こんな理由もあるのです。
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