カマンベール・ドゥ・ノルマンディー

 1年以上前の話で、恐縮です。
 
 パリから来ている、ソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルクのフランス人首席ビオラ奏者のDupouy Jeanが、ビュッフェ形式のホテルの朝食でカマンベールを取らないので、「フランス人の朝食なのに、カマンベール無しっていうのは?」と、からかい気味に聞いてみました。するとこう言うのです。「あそこに並んでいるのはカマンベールではない」。
 
 「本物のカマンベールは、カマンベール・ドゥ・ノルマンディーといって、加熱殺菌されていない牛乳から作られなければならず、味ももっと複雑玄妙なものだ。知らないか?今度持って来てやる」。雁屋哲さんの「美味しんぼ」のストーリーそのものみたいですね。そうして2011年11月5日にパリから持って来てくれたのが、これです。
 
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 Camembert de Normandieと書かれています。2種類持って来て、私に手渡す前の晩にホテルの窓の外で冷やしておいたのが、今朝方どうも騒がしかったと思ったら、1つはカラスに食われてしまった、と破壊された空箱の残骸のほうも見せてくれました。何というグルメなカラス!
 
 こちらが上の写真のケースの裏側です。無事だった方ですね。
 
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 11月25日は賞味期限、彼の鉛筆手書きで11月9日と書いてあるのは、食べ頃で最良の日付けなんだそうです。食べてみて納得。とにかく、今まで食べたことがある軽いカマンベールとは別物で、ずっとえぐくて臭いのです。世界中で普通にカマンベールとして流通しているのは、食べやすく万人向けの、発酵段階が若いものでしょうか?
 
 日本でも臭いタイプの納豆が敬遠され、最近はライトな納豆が席巻してきたように思います。私などは納豆は臭ければ臭いほど好きですが…。本場フランスでは、カマンベールももっと深く発酵させて、どっしりとした複雑玄妙な味を楽しむのでしょう。発酵し続けて変わりゆく味を、楽しんでいるのかもしれません。食べ頃で最良の日付けなんて細かいなあ、と思いましたが、大切な目安なんですね。
 
 カマンベールを千切って、ヨーロッパにある柔らかい皮ごとプチプチと食べられるタイプの種無し葡萄と一緒にほおばり、同時に咀嚼して食べるのが好きです。カマンベールも、100円から150円くらいで手軽に入手できるのです。
 
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