でたあ~!マイナス14℃

今朝のベルリンはマイナス14℃でした。その上、薄っすらと明るくなり始めるのが午前8時で、午後16時には日がすっかり暮れて真っ暗になってしまうという、過酷なドイツの冬です。このまま外にいたら、命にかかわるかも、と、思われるほどの寒さです。マイナス10度を超えると、体感温度はそう大きく変わらないかもしれません。ただ、コートや手袋を突き破って入ってくる寒さの速度がどんどん上がり、何分間このまま外にいられるのかが問題になってきます。ポーランドとか、ロシアは、もっと寒いんでしょうね。サハリンに抑留されていた私の祖父は、厳しい寒さと飢えの中で、辛かっただろうなあ。

12月が近づくと、Eメールやら、携帯電話のSMS(ヨーロッパでは携帯Eメールは一般装備ではありません)で、WOをお願いします、という問い合わせを頂きます。今年も7件来まして、5件引き受けました。さて、WOとは何でしょう?最初私も??でしたが、ドイツ語でヴァイナハツ・オラトリウム、つまりクリスマス・オラトリオの略です。バッハが、オーボエ・ダモーレというオーボエイングリッシュホルンの中間のような楽器の為に、ソロアリアを沢山作曲してくれました。この楽器、もっぱらこの時期に、季節限定で大活躍してくれます。今晩はベルリン・シュテーグリッツ区の教会で、私の今年最後のWOです。

私はバッハの宗教音楽に凝っていことがありまして、リリング、アーノンクールレオンハルト等の”理論系”を聞きまくった時期もありました。その後に最終的に行き着いたのは、カール・リヒターです。地響きのような底鳴りのする、なんと偉大なバッハでしょう!この40年前のドイツに君臨していたバッハの権威に影響を受けた、日本人ソロオーボエ奏者が、今日ドイツ人と一緒にバッハを演奏している、といったところでしょうか。ドイツ人の集団の中でバッハ、ブラームスワーグナーなどのご当地ものを演奏すると、当たり前のことですが、物凄いです。感激です。これが本物だあ。このかけがえのない栄養をもらっているうちは、幸せな気分になり、マイナス14℃も忘れることができます。

演奏後の締めくくりには、クリスマスマーケットで必ずお目にかかる、ドイツの甘酒、熱々のグリュー・ワイン(日本人が初めて飲むと、とってもびっくりする味です)を、マイナス14℃の中でフーフー言いながら頂いて、愛用の18段ギアの自転車で、帰宅します。ううっ、でもやっぱり寒い!