柏市民がお土産などのご進物はこれと決めているおかき

   私は千葉県佐原市津ノ宮、香取神宮の前に広がる水郷地帯の田んぼのど真ん中で、小学校2年終わりから6年までを過ごしました。ここは私の人生に大きな影響を与えた素晴らしい場所でして本当に思い出深く、お話ししたいことが山ほどあるのですが、今回はおかきの方角に舵を取らなくてはならないので、またの機会にじっくりお聞きいただきます。今回はここでの思い出をひとつだけ。
 
   9月に刈り取った稲は、田んぼの道路脇に木で組まれた櫓で天日干しにして、乾燥させます。充分乾燥して良い香りがしてくると、次に脱穀機にかけて穂からお米の部分だけを取り外します。この段階ではまだ籾殻に包まれていますので、さらにその籾殻を取るべく籾摺り機にかけてやると、玄米になります。この作業は水がなくなった田んぼの中で行われ、籾殻はそのまま田んぼに撒かれ燃やされます。そうすると翌年の良い肥料になるのです。籾殻の形状から、あっという間に激しく燃えるのではなく、炎も上げずに燻りながら丸一日かけてゆっくり燃えます。
 
   さてこういう場所は小学生の私達にとってまたとない格好の遊び場でして、その辺りで失敬してきた籾殻つきのお米一握りを、今まさに燻りながらゆっくりと燃えている籾殻の上に乗せます。すると間もなくパチッパチッとお米がはぜて、ポップコーンならぬポップライスが出来上がります。これが子供にとっては美味しかったんですねえ。取れ取れの新米でしかも焼き立てですから、本当に美味しかったのかもしれません。余談ですが、さつま芋やイナゴ、ザリガニに至るまでそこで焼いて頂きました。よくお腹を壊さなかったものです。
 
   これが私のおかきの原体験と言えるかもしれません。今でもものすごくおかきが好きで、日本に帰るとおかきばかり頂いています。
 
   私が卒業した浦和高校の先輩である須賀重和さんのご紹介でお知り合いになった、当時柏市立風早北部小学校の校長先生をされていた山田伸明さん(私の実家がある浦和にお住まい)が、ドイツに無いでしょうからとくださったのが、このおかきです。http://fudo.at.webry.info/200605/article_5.html または http://www.koganet.ne.jp/~fuka/kakimoti/frameKAKIMOTI.html これは「柏市民がお土産などのご進物はこれと決めているおかき」なんだそうで、それに大いに納得できる実に旨い本物のおかきです。美味しいお米の味と香りに、ややしっかり目のカタさと控えめながら丁度良い油の染み具合。頭蓋に心地よく響きますが、ガリガリ硬いわけではなく、自然乾燥させたおもちに秘密があるらしいです。小さな一袋をあっという間に平らげてもまだ後をひきます。
 
   看板の塩味も素晴らしいですが、絶品は醤油味。醤油の素晴らしさが存分に楽しめます。千葉県のこの辺り野田から銚子にかけての利根川沿いは、調味料に関してはもうひたすら醤油文化なんですねえ。佐原の近くにも名声誉れ高い下総醤油 http://www.chibashoyu.com/shimousa/shimousa.html がございます。この辺りの昔ながらの蕎麦屋に入ってみてください。ざる蕎麦のおつゆは、ドンと来いと言わんばかりの、ひたすら真っ黒の醤油味。友人で尊敬する佐原の会社社長さんの菅澤さんのお言葉をお借りすれば、「せっかくの日本が誇る調味料である醤油を、おだしなんかで薄めちゃってどうするの!」という感じなんだそうです。良いですねえ、こういうの。
 
   さて、その柏のお寺でのコンサートが急遽決まりました。http://www.kannon-ji.jp/k_gyouji.html お近くにお住まいの方、是非いらしてくださいね。今回の帰国では、他にもこのようなコンサートがございます。http://katsuyawatanabe.com/jp/schedule.html 5月2日にはなんと指揮者の沼尻竜典さんのピアノと共演です。
 
   このブログの下書きを菅澤さんにお見せしたところ、このような情報が寄せられました。「秋になると、懐石料理屋さんで脱穀していない稲穂(一房もの)が添え物として天ぷらで出てきます。食べていいものかどうかわからない人もいますが、恐る恐るはじいて食べてみると意外とおいしい!その焼きもみ版が田んぼのポップライスですね。」