Dear オバマ大統領閣下

 私は無口なほうで、言いたいことの10分の1くらいしか口に出せない性格です。自己抑制が強すぎるというのでしょうか。(ここで吹き出す方が大勢いる・・・かも。)ですので他人と打ち解けて楽しくやるときには、それが許される時間であれば、アルコールの助けを借ります。滅多に頂きませんが、いったん始めると結構いけるクチで、舌が滑らかになり愉快になって参ります。お酒は美味しく愉しく頂くと決めていますので、ヤケ酒は一切いたしませんし、飲んで攻撃的になったり喧嘩をしたりしたこともありません。特定の人に対する説教もいたしませんが、ごく稀に真面目な演説が始まることがあります。

 2009年8月4日都内で、中村由利子さん作曲のオーボエとピアノのための美しい作品を集めたコンサートが開かれ、その打ち上げが居酒屋でありました。宴もすすんだころ、オバマ大統領が8月6日広島原爆の日にも9日長崎原爆の日にも、来日して原爆投下について謝罪してくれなさそうですね、などという話になりました。そこでも私は演説してしまったのです。聞いてくださった皆様、お耳汚しすみませんでした。

 「オバマさんもいろいろ事情がおありでしょうから、今の状況では謝罪は難しいのでしょう。でもこのままでは広島長崎に来ようとすると謝罪を要求されるし、政治が絡んでくるので、来たくても来られない、なんていうことにもなりかねない。私はオバマさんにまず”私人”として、どうか広島長崎に自分の足で立って、原爆資料館を見て、あの日B29から8ミリフィルムで撮った立ち昇るきのこ雲の下で、一体どういう恐ろしいことが起こっていたのか、肌で感じていただきたい。”人類”が何を造り使用したか。そして”人類”とはいったい何なのか。さらにオバマさんが世界のリーダーとして何をしなくてはならないのか。謝罪するか否かは、その後に考えて頂いても良いのではないでしょうか。」

 ヨーロッパにいると、ここでは「核兵器は人類の滅亡も可能にする、たいそう危険なものである」程度の認識しかないのを、残念に思うことがよくあります。彼らは原爆が何であるか、頭でしか知らないのです。一度広島長崎に来て、その土地に来ないとわからないものを感じていただきたいです。外国人が原爆資料館を訪れると非常に大きなショックを受ける、という話も聞きますが、大いに結構。そういう種類のショックこそこれからの人類の為に必要ですもの。

 そうしたら、そこにいらした中村由利子さんのマネージャーの嵐さんさんが、すぐに南こうせつさんに連絡を取ってくれて、彼が主催する広島でのチャリティーコンサート「南こうせつin世界平和記念聖堂」8月7日の出演を取りつけてくれました。こんなすごいこともあるんですねえ。どうもありがとうございました。私のマネージャーも後援会も大いに色めきたったのですが、残念なことに準備期間(3日間)が短かすぎて実現しませんでした。今度ある時はは絶対に参加させて頂きたいです。ひょっとしたらオバマ大統領もご招待に応えて聞きにいらして・・・「Yes, we can!」って。

 どなたかこの私の願いをオバマ大統領に届けてくださいませんか?政治家からではなくて極めて”非政治的”な一文化人の私なんかからだからこそ、叶えて頂ける糸口があるかもしれませんね。?お役に立てれば光栄です。